講演:「介護保険制度改定におけるサービス提供の視点」
講師:神戸学院大学総合リハビリテーション学部
   助教授   奥 西 栄 介 氏
 
改正介護保険制度の論点
 ○「自立生活支援」=介護保険制度の根幹となる考え方 à 政策理念
 ○「尊厳の保持」 à 高齢者介護の理念として明確化
   介護保険法第1条を改正し、要介護高齢者の「尊厳の保持」項目を新設
   ・尊厳の保持とは、自立生活支援の根底に流れる理念
   ・「老いのプロセス」をいかに生きるか á 高齢者の生の意味
   ・老いつつも自身の生にベストを尽くすところに高齢者の尊厳がある
   ・高齢者の尊厳を突き詰めて考えると、「ターミナルケア」「終末期のケア」の
    あり方につながる
 ○高齢者ケアモデルの転換




 

 事後対応モデル → 予防モデル
 身体介護モデル → 認知症介護モデル
 家族同居モデル → 単身モデル
 

※現実的には、完全な転換では
 なく、地域差や文化の違いが
 存在する
 
   認知症ケアにおける自立生活支援、エンパワーメント支援
   ・認知症の方が自分の物語を、自分らしい物語を語り得るためのケア
   ・語り得ぬ時期を迎えた時に、その方の物語をその方の生ある限り代弁していく
 
改正介護保険制度制度におけるポイント






 

 持続可能な介護保険制度 ←   制度再構築の必要性
 予防重視型のシステム  ←
 介護サービス市場の管理 ← 介護情報の公表、第三者評価
 地域ケア型介護サービス ← 地域包括支援センター、地域密着型サービス
 被保険者の拡大 ← 将来的に自立支援法との一体化議論
 
 
自立生活支援をいかに考えるか
 ○自立生活という言葉に対するこだわり
  「言葉のお守り的使用法」(鶴見俊輔氏:1946年)
  ・言葉のお守り的使用法=その言葉を使えば誰もが他からの批判をかわすことの
              できる言葉
    例えば、「自立生活」「自己決定」「対等な関係における契約」「介護予防」
    「エンパワメント」が該当するかもしれない
  ・言葉の意味を援助実践の中で具体的に捉え、その内実・中身を読み取ることが必要
 ○高齢者本人が知り、参加し、決定するということ
  ・介護保険制度サービスの供給メカニズムは稼働していても、その目的となる高齢者
   自身が願う自立生活について、人々が協働して考えていく姿勢は、いまだ定まって
   いない。
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  ・高齢者自身が状況を知り、決定のプロセスに参加することが大切
  ・高齢者本人を中心に、関係者や援助者を含めて、合意形成をしていく方法が必要
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     高齢者の自己決定の最大限尊重=自立生活支援の前提となる事柄
 ○対話の場を通して自立支援を考えていくこと
  ・自立生活をパターン化してはいけない → むしろ変動していくもの
  ・完璧なケアプランはあり得ないから、利用者と援助者の対話が必要となる
  ・利用者と向かい合い、対話を通しての柔軟な自立生活支援考える力が求められる
 ○向かい合うことを媒介すること
  ・物事にかかわる人々が互いに対等な位置関係を形成してこそ、生活の当事者の自己
   決定と自立生活の実質が付与される
 
改正介護保険制度に対するサービス事業者のとるべき態度
 ○対等性の確保 = 対人援助の共通の基盤として位置づけられている価値
  ・生活の当事者である利用者が主体的に制度を利用し、自立生活を自ら獲得するため   の支援
  ・援助者は、利用者、当事者を取り囲む社会関係をより豊かにすることが求められる
 
地域福祉文化の醸成に向けて
 ○今回の改正介護保険制度で、制度目的である「自立生活支援」「介護の社会化」の意
  味を改めて考える必要性がある
 ○生活者の視点から考えていくことが求められている
 ○資源の分配競争に傾斜することではなく、介護の意味を掘り下げていくことが重要
 ○人の老いの介護を通して、自分自身の将来の老いとして受け止め、自分の内側に内部
  化する
 ○そこから得たことを他の人々と肯定的に共有・協働することにより、介護の社会化が
  地域社会に根づいていく
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         新しい高齢社会文化モデルの表れ