『サービス提供時の感染症(疥癬、MRSA等)に関する知識と注意点』
−サービス提供時に感染リスクの高い疾病、関心の高い疾病を中心として−
講師:神戸市立中央市民病院 感染管理認定看護師 坂本悦子氏
感染防止が大事 ・患者(利用者本人)を感染から守る
・介助者(自分自身)を感染から守る
病原微生物の力<患者自身の抵抗力→感染しない
病原微生物の力>患者自身の抵抗力→感染する
感染経路−接触感染(触れることによって感染)
飛沫感染(クシャミや痰からうつる)
空気感染(結核等)
※菌が患者についた段階では感染とは言わず、菌を保菌しているという状況になる。何らかの炎症症状がでると感染が起きたという。

標準予防策の考え方
感染症が明らかになっている方だけではなく、感染症が明らかになっていなく
ても、潜在的に何かの菌を持っていて、それが表面に表れていないだけかも
しれないという事を前提に、どんな方にも適応される対処法。
具体的な方法 ・防護用具(マスク、手袋、ガウン)
・手洗い
◆マスク◆
いつ必要か
・患者の体液、血液、分泌物のしぶき等から自分の鼻腔・口腔粘膜を保護するため
・介護者の咳やクシャミが患者にかからないため
どんなマスクがいいのか
・使い捨てがいい(一般に売られているようなマスクで構わない)
◆手袋◆
いつ必要か
・患者の体液、血液、傷のある皮膚、粘膜に接触する可能性があるとき
・汚物、汚物が付着したもの、汚染した環境に触れる可能性があるとき
・自分の手に手荒れや傷があるとき
※患者に、患者と自分自身とを守るための手袋だということをきちんと説明して着用する
◆ガウン◆
いつ必要か
・患者の嘔吐や吐血等で介助者の衣服が汚染しそうなとき
・MRSAなどが出ている患者と濃厚に接するとき
どんなガウンがいいのか
・安くてビニール製のロールになったエプロンなど
◆手洗い◆
いつ必要か
・訪問したとき(外部からの菌を持ち込まない)
・食事介助、歯磨き介助の前と後
・清拭、入浴介助の前と後
・おむつ交換の前と後
・訪問先を出る時
※何かをした後だけではなく、する前にも手洗いが必要
※手袋の中で手が蒸れて細菌が増殖することもあるので手袋を外した後も手洗いが必要。
※手洗いミスを起こしやすい部分=指先や指の間、親指。利き手の方が洗い残しが多い。
手洗いの手順

![]()
![]()
![]()

![]()



●大切なこと
1.爪は短いですか。
2.時計や指輪ははずしていますか。
3.手や指に傷がありませんか。(最近が残っている)
4.絆創膏やバンドエイドを貼っていませんか。(洗い残しが生じる)
5.手を洗ったあとあちこち触っていませんか。
●速乾性の手指消毒剤(アルコール製剤)
・規定量を守る。
・完全に乾くまですり込む。(20秒〜30秒)
●うがい
・まず口に含んでクチュクチュと何回かし、次にできるだけ上を向いて、ガラガラガラとのどの奥の方までうがいをする。2回繰り返す。
●環境整備
個人の家では特別なことは必要ない。ホコリがない、汚れていない、湿ったものがその辺にないということ。
黄色ブドウ球菌(MRSA)=薬剤に耐性があるブドウ球菌
・皮膚・毛嚢、口腔・鼻腔、腸管などにいる
・医療従事者の手、汚染された器具が直接、間接的に感染経路としてある
・伝播力は強い、乾燥に強い
・肺炎や腸炎などの感染症を起こす
・感染症を起こしていない、保菌者が交差感染を引き起こす可能性がある
・痰等を触る時は手袋をして、ビニール袋に入れてゴミに出す
・うがいや歯磨きを頻回にする
・褥瘡から出ていたら、洗い流す
・風呂の清掃は普通の風呂の洗浄剤でかまわない
・清拭とか陰部洗浄は、手袋をはめて、菌の少ないところから多い方に。もしくは、いったん手を洗うか、手袋を交換して、清拭に移る。
疥癬
・疥癬虫は目に見えない大きさのため、赤い発疹や痒み等を元に、早期発見が大事
・潜伏期間は2週間から1か月
・温度が16度以下では疥癬は動かない
疥癬とノルウェー疥癬の違い
|
|
疥癬 |
ノルウェー疥癬 |
|
寄生数 |
1000匹以下 |
100万〜200万匹 |
|
宿主の免疫力 |
正常 |
低下 |
|
感染力 |
弱い |
強い |
|
主な症状 |
丘疹、結節 |
角質増加 |
|
かゆみ |
強い |
不定 |
|
場所 |
頭部を除く全身 |
全身 |
|
感染対策 |
・シーツ・衣類の交換は通常通り ・寝具は共有しない ・洗濯には特別な処置は必要ない ・ムトーハップの入浴により皮膚が弱くなるので、あまりお勧めではないという本もある ・治療としては軟膏を全身に塗る ・部屋の掃除は通常通り(殺虫剤は必要ない) ・手洗いは必ずする |
・ケアの時、手袋、ガウン等必要 ・リネン類は加熱もしくは殺虫剤を使用する ・皮膚等と一緒に飛び散ったものから感染した例もあるので、飛び散らないように気をつける |
インフルエンザ
・突然38度超えるような発熱や、全身倦怠感等の全身症状
・感染経路は飛沫感染、空気感染(人から人への感染)
・予防法=十分な手洗いとうがい、ワクチン接種
B型肝炎、C型肝炎、HIV/AIDS (血液を介する感染)
・血中ウィルスによる感染症
・感染経路は輸血、母子感染、性交による感染、針刺し事故等
・予防法(標準予防策)=その人が感染症を持っているかどうかに関係なく、血液とか体液に対して防護をしっかりする
B型肝炎のワクチンを接種