シンポジウム『困難ケースに対する連携の現状と課題、今後の展望』
 


 




 

〈シンポジスト〉
 社団法人神戸市医師会 介護保険担当理事 久次米 健 市
  神戸市ケアマネジャー連絡会 代表 稲 松 真 人
  神戸市保健福祉局高齢福祉部介護保険課調整指導 係長 上 田 智 也
〈コーディネーター〉
  甲子園大学現代経営学部医療福祉マネジメント学科 助教授 長 田  貴
 
 
シンポジウム概要 −各シンポジスト・コーディネーターの発言要旨−(文責:事務局)
 
〔久次米氏〕
○地域医療=全人医療
○白衣=医師としての患者からの信頼と責任(時として、敷居の高さを示す)
 ●かかりつけ医とは
  ・地域の中での歴史
  ・地域の事情の理解
  ・地域の中での信頼の構築
  ・地域での終末期医療
○困難ケースと連携
 ●すべての人は困難ケースになり得る要素があり得る
 ●対応する人の解決能力と問題とのバランス
 ●連携とは対応能力増加のための方法
 ●連携には、形成する意思が必要
 ●連携の対象=患者・家族、介護保険事業者、行政、施設、病院・医療機関、地域住民
 ●介護保険事業者との連携
   主治医意見書、ケアカンファレンス、診療情報提供、在宅医療と介護の役割分担
○連携による効果
 ●相談相手が得られる
 ●行為の透明性が高まるá行為の相互理解
 ●問題解決の手段が多くなる
 ●責任を分担できる
○連携に必要な条件
 ●お互いをプロとして認識しあう必要性
 ●お互いの信頼感の構築は困難な事もあるが、貴重な財産となる
○連携の崩壊
 ●信頼感の喪失
 ●問題を放棄することは解決ではない
○課題
 ●医師としての課題
  ・在宅と病院とのより緊密な連携
  ・在宅での医療レベルの保障
  ・介護に関する知識を得る
 ●ケアマネジャーの課題
  ・独立して働く制度
  ・孤立化しない工夫
  ・専門性の構築
  ・専門性の評価と報酬
○見守りによる連携á側から見守り、一所懸命話を聞くことも非常に大事な連携
○今後の展望
 ●在宅重症患者の増加、要医療度と要介護度の高い人の増加、在宅での看取りの増加
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             関係者の連携の努力は一層重要
 ●在宅と施設のコラボレーション
 ●独居痴呆の増加á行政の担当範囲の増加
○介護保険施行後、ようやく目標が遠くに見えてきた状態ではないか
〈病診連携の課題〉※コーディネーターからの質問に答えて
 ●地域連携室の整備(病院との連携窓口)
 ●診療所から病院への患者の紹介に効果がでている
 ●痴呆性高齢者に対する病診連携、診診連携は十分でない
   ・一般の病院で問題行動への対応は困難
   ・往診する精神科医は少ない状態
 ●痴呆介護ネットワークの中で痴呆性高齢者総合相談窓口への対応として機能化
〈「死にたい」という人への対応〉※コーディネーターからの質問に答えて
 ●「死にたい」という人の本意を知る
 ●本当に「死にたい」と考えている人は、かかりつけ医、場合により精神科医に要相談
 ●自殺者約35,000人の内、60歳以上の人は全体の3分の1程度もいる
 ●さまざまな不安などのはけ口として発する人もいる
   ・しっかりと相手の言うことに耳を傾けることで心が安らぐ人も多い
   ・「一所懸命、私の言葉を聞いてくださいね」という言葉のサイン
 
 
〔稲松氏〕
○ケアマネジャーが困難ケースと捉える側面の理解
 ●利用者自身の問題
 ●サービス事業者の問題
 ●制度の問題
 ●ケアマネジャー自身の専門性の問題
○対人援助の基本的枠組み
 ●クライアントの理解
 ●クライアントに対するポジショニング(ケアマネジャー自身の理解)
   ・介護保健制度というシステムの中でケアマネジメントをする自分
   ・ケアを管理、コーディネートする上でシステムを活用する自分
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      自分の責任持って仕事できる範囲の認識とバックアップシステム
 ●クライアントの世界を理解+自分の世界を理解
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      適切な方法でのクライアントへの働きかけ
 ●アセスメントに必要なクライアントのデータ
   ・あらかじめ聞くべき内容を整理して聞くことが大切
   ・面接技法について勉強していくことが必要(ケアマネジャーの専門性との関連)
 ●困難と感じるケースを相談せずに抱え込んでいる現状 á 連携の必要性
   ・自分で解決しようと頑張る
   ・身近に相談相手がいない
   ・相談相手を敬遠
○連携の必要性 à 平成15年度の介護報酬改定が影響
 ●連携の必要性を感じないケアマネジャー ・・・・・・ 減っている
 ●必要と思うが時間がないケアマネジャー ・・・・・・ 困難と感じるケースを中心に連携を行えるようになってきた。
 ●必要と思うが方法が判らないケアマネジャー ・・ さまざまな勉強会等を活用
○カンファレンスの有効性
 ●ケアマネジャーの負担感の軽減(負担化の共有)
 ●他職種の専門性の確認(「餅は餅屋」)
 ●制度、システムに関する知識を得る
 ●さまざまな視点から問題を見る á 問題の明確化
○今後の展望
 ●地域ネットワークを機能させる
 ●職能連携の強化
 ●ケアマネジャーが専門職として根付いていくためには、ケアマネジャー自身が質を高め続けていく必要がある ä 介護報酬の仕組みの適正化も必要
〈「死にたい」という人への対応〉※コーディネーターからの質問に答えて
 ●利用者からこの言葉が出た時には、援助者も非常に重たい気分となる
 ●本当にしんどくて死にたいと利用者が考えている時に、援助者は共感できるのか
   ・援助者の死生観が問われる
   ・相談業務、ケアマネジャーとして聞くことには限界がある
 ●本当に苦しい場合には、専門の精神科医を紹介することも必要
 ●接触が困難ケースで介入が困難な場合は、しっかりと見守ることが大切
 
 
〔上田氏〕
○基幹型在宅介護支援センターとしての役割
 ●各区あんしんすこやか係の業務として機能を持たせた(介護保険制度の施行時)
 ●地域型在宅介護支援センター(あんしんすこやかセンター)77箇所の配置
                          (おおむね中学校区に1箇所)
 ●基幹型在宅介護支援センターの役割
   ・あんしんすこやかセンターへの支援、指導
   ・ケアマネジャーが困難と感じるケースに対する相談、支援
   ・ケアマネジメントリーダーの配置 á 基幹型在宅介護支援センターの機能
   ・「直接処遇」ではなく、「間接処遇」
○行政としての役割
 ●事業者が困難と感じるケースと行政対応
 ●どこまで介入するのが行政の役割か á 例えば「虐待」では行政介入が必要となるケースもある
 ●「虐待」への行政介入 á 唯一の法的手段としての「やむを得ない措置」(措置権)
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                      具体的な基準の検討
 ●虐待に関する地域ごとのネットワークの必要性
○地域包括支援センター
 ●基幹型在宅介護支援センターとあんしんすこやかセンターの問題
   ・基幹型が基幹型たる業務ができていない
   ・あんしんすこやかセンターが兼務しているケアマネジャー業務に特化し、本来業務ができていない
 ●地域の身近な所で3つの主な機能を持たせたセンター
   ・介護予防機能
   ・総合相談窓口機能 ← 権利擁護的機能を併せ持つ
   ・包括的・継続的マネジメント機能 ← スーパーバイザー的ケアマネジャー
 ●地域を包括する支援のセンター á 地域における地域福祉、総体的に支援ができるセンターと想定もできる
 ●地域包括支援センターの創設 á 行政のより高度な役割が求められる
〈「死にたい」という人への対応〉※コーディネーターからの質問に答えて
 ●困難ケースと言われる人への対応で、援助者がその人をコントロールしようとしてもできない。
 ●援助者は、相手に巻き込まれようないよう自分自身の立場を保たなければいけない
 ●援助者と利用者の関係の取り方の重要性
 ●援助者としては、常に利用者と向き合い、何かサインを出した時にすぐに対応できる距離にいることが大切
 ●今困難だと感じるケースにしっかりと関わることは、援助者としての成長につながる
 
 
〔長田氏コメント〕
 ●利用者や利用者の生活のキーパーソンが何かある時、何らかのサインを出せる状況を相談を受ける側は作り出すことが必要。
 ●利用者にとって、支援者、援助者、専門職としてのキーパーソンはなり得るが、生活のキーパーソンにはなり得ない
 ●事前に問題を予防する視点を持つことも大切
 ●現在他職種で構成されているケアマネジャーは、より専門性を問われてきている
 ●「専門性」=他の専門職が立ち入っていない、立ち入れない部分
 ●関係者の専門性の確認+円で示した専門性の重なり合う部分での共同作業の意識化
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