『結核に対する基本的理解』
講師:西神戸医療センター呼吸器科 医長 多田公英氏
神戸市の新登録結核患者は、一時増加した平成7年頃から比べると、減ってはいるものの、全国平均よりは多い。
高齢者の結核が増えている
発病している方は最近感染したのではなく、若い頃、結核が蔓延していた時期に感染していた方が年齢とともに免疫力の低下なども重なって、最近発病したという方が多い。

高齢者結核の背景
○免疫機能が低下して、感染症を併発しやすい
○眠っていた菌が、体の機能低下とともに発病していく
○合併症の他の症状に隠れて、出現しにくい
○副作用のため治療薬が制約されることも多い
○よくなっても呼吸不全や全身的な衰弱で後遺症を残しやすい
○結核に対する偏見により、受け入れが難しい
結核菌=非常に小さな病原菌で細菌の分類では抗酸菌に分類される
結核菌は一般的な細菌と比べると、分裂が非常に遅い。(発症するスピードは遅い。)
感染症の感染経路
@
空気感染−空中を浮遊している病原体を吸い込むことにより感染
空気感染する疾患=結核、水痘、麻疹(はしか)
A
飛沫感染−病原体を含んだ他人の飛沫を吸い込むことにより感染
B
接触感染−接触することで感染
C
経口感染−汚染された食物、水による感染
D
血液媒介型感染−汚染された注射針を刺したり、傷口に血液が触れることで感染
飛沫感染と空気感染の違い(同じようにせきをして、しぶきを空気中に放出するが・・)
飛沫感染=菌の周りに水分を多く含みすぐに落下。
空気感染(結核)=空中で水分が蒸発して小さな粒子(飛沫核)になり、落下せず浮遊する。
◆発病した場合◆
せきやくしゃみを直接飛ばすようなことを避ける。(マスクをするだけでもかなり効果がある)
換気も効果がある。
落ちた結核菌からは感染しない。(掃除や洗濯は通常通り)
結核の人と接触をしたからすぐ発病するというわけではない

鼻や口、
気管支等で捕捉される


抵抗力が弱っている・子供


菌が眠った状態
高齢化・抵抗力が落ちた時

どういう時に発病するのか

※社会的要素(いろいろな所でよくしゃべる人などの場合)、周り伝染する可能性が高くなり、集団感染につながる。
結核感染後の発病リスク要因=腎不全、糖尿病、胃の手術をした人、悪性腫瘍、
ステロイド治療中等
どういう場合に結核を疑うか
◆原因が分からないのにせきが2週間以上続く場合
◆糖尿病、胃切除、透析、担癌患者でせきがある時
◆普通の抗生物質が効かない肺炎
◆白血球増多や発熱が乏しい肺炎
◆原因不明の微熱が続く、高熱が続く
高齢者に多い呼吸器疾患(肺炎、誤嚥性肺炎、慢性閉塞性肺疾患、肺ガン、喘息、気管支拡張症、間質性肺炎など)の疑いのある場合は、レントゲンと喀痰検査を速やかに行うことが早期発見につながる。
肺結核の診断
胸部X線→過去のX線と比較、CTの撮影→喀痰検査
結核治療の目標−@患者の救命、機能障害を残さない。A感染防止。B治療により社会的生活に支障をきたさない。C耐性の予防。
治療方法(標準治療)−6ヶ月以上複数の薬を使う。
伝染性のある時期だけ入院する(約2か月)
集団感染の発生場所−学校、会社、病院、老人施設等
集団感染予防にはとにかく早期発見。結核菌が見つかればすぐに治療を始める。結核菌があるかどうか分からない場合でも換気をしっかりする。発病した人に接触する場合は微粒子マスクを付ける。
結核予防
○感染を受けた場合の発病予防のために− 過労、栄養が偏る、ストレス、睡眠不足を避ける。
○早期発見のために−定期検診を受ける。せきが続くとか、不明な熱があるという場合は早急に検査を受ける。