記念講演会 『これからの高齢者福祉と介護保険』
講師:大阪大学大学院 人間科学研究科 教授 堤 修三 氏
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1.財政制約の中での社会保障
●介護保険制度改革の動きが速い
○財政的問題(予算全体の抑制化)á社会保障制度全体の見直しの必要性
○医療・年金の見直しから介護・福祉の見直しへの拡大
●三位一体改革による影響
○国庫負担金の廃止による地方一般財源化á全国的な保障の水準維持ができるか
○地方交付税の機能=@財政調整機能、A財源保障機能
○一般財源化による実施基準の緩和á特に福祉分野での格差の問題が起こってくる
●介護保険の抑制装置=@1号保険料、A2号保険料、B公費のそれぞれで、増額に対する抑制が働く
○1号保険料の限界à老齢基礎年金額からの天引きと負担感(5,000円限界説)
○介護給付が増大することは、3つの負担がそれぞれ増額すること
○1号保険料の上昇により給付費用が抑制されるよりも、公費負担増加による抑制が先行してあらわれた
2.介護保険制度の見直し
●予算制約による給付費用の圧縮要請
○しばらく続くと考えられる給付費用抑制
○これからの事業展開、生き残り戦略を考える必要がある
●国庫負担の明確化がされていない支援費制度=補助規程のまま
○国庫負担の明確化をするためには、給付における客観的な基準が必要
(注)障害保健福祉施策の改革の中で国の義務的負担化が検討中
●新予防給付の給付基準の不明確さ
○現行のサービス利用者に対して客観的な説明ができるかáエビデンスの必要性
○これまでの要介護認定の実証的な研究では、心身状況とサービス利用の状況によって、その後の心身状況が改善するケースが多いか否かの分析もある
3.在宅サービスと施設サービスのボーダレス化
●特別養護老人ホームのホテルコスト負担化と有料老人ホーム(特定施設生活介護)との境界の接近
○介護専用型特定施設への住所地特例適応の検討á特別養護老人ホームとの接近
○地域での要介護者のセーフティネットとしての特別養護老人ホームの役割
●医療機能の充実した特別養護老人ホームá老人保健施設との違いの曖昧化
●サテライト型特養とグループホーム、デイサービスとデイケアの類似化
●将来的には、在宅サービスの支給限度額と施設サービスの報酬額の一本化もあり得る
4.ケアの質の確保
●ケアマネジャーの独立性の確保の問題
○法人組織上の独立性を確保することの困難性
○運営上のルール化による対応à併設事業との関係性
●競争の中でのサービスの選択
○利用者が選択することのできるための情報公開と客観的評価の必要性
○他者から評価される前に、まず自己による評価が必要
○自己評価を補完するための外部評価á事業者自らがサービスをよくしていく
○利用者の選択に資するためのリスト作成àさまざまな評価機関による
●行政が行うのではなく、業界としての努力、実践を高めていくことが必要
○業界としての自主的な取り組みが必要
5.規制改革の動き
●特別養護老人ホームと有料老人ホームのボーダレス化
○今後、社会福祉法人のあり方自体が問題となってくる
●病院経営の民間参入
○将来的には、営利法人が出資などする医療法人設立が緩和されることも考えられる
●行政による総量規制 æ 競争によるケアの質の確保 à相反する事項=ジレンマ
6.社会福祉施設の将来
●施設のボーダレス化と設置主体の違い
○特別養護老人ホームと有料老人ホームのボーダレス化、老人保健施設を運営する医療法人と社会福祉法人の類似化
○セーフティネットとしての社会福祉法人と医療法人並みの社会福祉法人への二極化
●医療法人並みの社会福祉法人=保健福祉法人なども考えられる