記念講演:『介護保険制度改正をめぐる情勢と今後の展望』
     講師:厚生労働省 老健局 認知症対策推進室長
        介護制度改革本部事務局次長   渡辺由美子氏
 
1.介護報酬改定の基本的論点と今後の検討のすすめ方
●今回の介護保険制度改定をめぐる状況
  @制度改正型 → 制度的な見直しを具体的に反映するものが「報酬基準」
  A介護保険施設等の居住費、食費の先行見直し
    → 改正後の状況を踏まえた上での報酬改正
  B介護保険財政の効率化・安定化の視点
 ○もう一つのポイント → 介護報酬と診療報酬の同時改定(介護保険制度施行後初めて)
 ○全体的な状況としては、全体の改定率としてのプラス改定はほぼない状況
 
●改訂に向けてのスケジュール
 ○新規サービス(介護予防サービス、地域密着型サービス、ケアマネジメント)についての一定の考え方の整理を既に実施
 ○既存サービス(在宅サービス、施設サービス)の議論を行い、11月下旬までには審議会での議論を終える予定
 ○12月の上旬に審議会として一定の改善の方向を取りまとめる予定
 ○具体的な介護報酬改定率 → 来年度の政府予算編成過程の中で決定(12月の中下旬)
 ○改定率決定後に具体的な報酬点数の作業を実施 → 1月中下旬には最終的な報酬案
 
●介護報酬改訂の基本的課題
 ○制度改正に伴う介護報酬の見直し(介護予防、地域密着型、ケアマネジメント)
 ○既存サービスの見直し
  ・効率化、適正化、コストダウン
  ・サービスの質、プロセス、機能に応じた評価
  ・利用者の特性に応じたサービス評価(中重度への対応、認知症ケアの充実)
 
2.新規サービス等の報酬体系に関する議論等の整理
●介護予防サービス(新予防給付)について
 ○新予防給付の対象者 = 従来の要支援者+新しい要支援者(要介護1の6〜7割)
 ○マネジメント主体 á 地域包括性センター
 ○通所系サービス(介護予防通所介護、介護予防通所リハビリテーション)
  ・一定の期間内の成果に重点を置く
・「従来の時間単位」から「月単位の定額制」への変更
・新しいメニュー =「運動器の機能向上」「栄養改善」「口腔機能の向上」
・報酬イメージ á 共通的サービス(基本料金)+新しい選択メニュー(加算)
  ・送迎加算、入浴加算の共通的サービス部分への包括化
  ・目標達成度に応じた評価の導入(事業所単位で評価)
    á 新しいメニュー部分対象〔介護度の維持改善の割合で評価〕
  ・介護報酬定額化で懸念される「過少サービス」の対応 á「プロセス基準」設定
 ○訪問介護 → サービス内容の標準化・適正化
  ・「従来の時間単位」から「月単位の複数段階での定額制」への変更
  ・身体介護と生活援助の1本化
 ○福祉用具貸与(販売)
  ・「福祉用具選定の判断基準(ガイドライン)」の支援方法基準への明確化
  ・要支援者の使用が想定しにくい福祉用具(例:車いす、特殊寝台)
    á原則、保険給付の対象外(一定の例外規定の場合だけ貸与)
  ・使用期間をケアプランの中で明確化
 
●地域密着型サービスについて
 ○事業者の指定権限=市町村(保険者)
 ○居住系サービス → 市町村が事業計画で利用定員を定めて供給コントロールが可能
 ○報酬基準 → 市町村が国のガイドラインを基に諸要件を勘案して決定
 ○できるだけ中重度になっても地域で生活を継続できるようにするためのサービス
 ○「医療との連携」=重要なポイント
 ○既存資源の活用、人員や設備に関する規制緩和
 ○「小規模多機能型居宅介護」「夜間対応型訪問介護」á月単位の包括報酬化
 ○小規模多機能型居宅介護
  ・人員配置基準 → 通い、訪問、泊まりを柔軟に業務遂行できるように設定
  ・ケアマネジャーを配置 → 自宅でのサービスを含め利用者のプランを作成
  ・外部評価や地域に対して事業所の運営状況の公表
 ○夜間対応型訪問介護 → 従来の定期的巡回+利用者の求めに応じた随時対応
  ・基本的機能=「定期巡回」「オペレーションセンターサービス」「随時訪問サービス」
 ○地域密着型介護老人福祉施設、地域密着型特定施設入所者生活介護
  ・「サテライト型居住施設」を参考に、ケア部分に特化した形態
 ○認知症対応共同生活介護
  ・質の向上への対応、医療ニーズへの対応、地域ニーズへの対応
 ○認知症対応型通所介護
  ・グループホーム、地域密着型介護老人福祉施設の共用スペースの活用
 ○ケアマネジメント(介護給付部分)
  ・マネジメントに係る手間コストの反映 → 4種類加算の廃止、要介護度別傾斜報酬
  ・マネジメントのプロセスに応じた評価 → 初回の報酬上の評価
  ・公正、中立、サービスの質に対する評価
                  → 標準担当件数の引き下げ、減算規定の明確化
 ○ケアマネジメント(予防給付部分)
  ・初回のアセスメント評価(初回加算)
  ・介護給付部分とのバランスから考えられる報酬の単価設定
 
3.既存サービスについて
 ●訪問介護
  ○基本的体系の検討(3つの案を検討中)
  ○サービスの質と責任体制の確保
   ・3級ヘルパーの取り扱い、サービス提供責任者の明確化
  ○サービスの質の高い事業所の評価(加算対応)
 ●訪問看護
  ○24時間対応の強化と在宅ターミナルの強化
 ●訪問リハビリテーション
  ○退院、退所後の利用評価と利用期間による逓減制(短期集中をより評価)
  ○STによる訪問リハビリテーションの評価
 ●居宅療養管理指導
  ○報酬上の評価を「指導・助言」「情報提供」に分けて評価
  ○管理栄養士による居宅療養管理指導 → 栄養ケア・マネジメント
  ○歯科衛生士による居宅療養管理指導 → 機動的な対応化、指導内容の充実
 ●通所系サービス
  ○管理コストにおけるスケールメリットに着目した逓減制の導入
  ○送迎加算の基本部分への包括、入浴介助加算の1本化
  ○新しいニーズへの対応 → 栄養改善、口腔機能の向上、若年認知症の方への対応
  ○医療ニーズと介護ニーズ併せ持つ方への対応
   ・医療機能を強化したタイプの通所介護 á 新しい類型